Ado [ 新時代 ]:コード進行分析

はじめに
まずは、曲の基本情報について。
この曲のキーは「G メジャー」か「Eマイナー」で、正直、どっちなのかわかりません。
この2つはレラティブの関係なので、どちらにせよ、スケールの構成音は「G, A, B, C, D, E, F♯」の7音となります。
したがって、ダイアトニックトライアドは、G, Am, Bm, C, D, Em, F♯dim です。
ダイアトニックセブンスコードは、GM7, Am7, Bm7, CM7, D7, Em7, F♯m7(♭5) ということになります。
BPMは175です。
コード進行について
分析については、曲の基本的な部分だけを取り上げようと思いますので、イントロ、Aメロ、そして、サビ、という3つのパートを対象にして進めていきます。
あくまでも、素人である僕のリサーチに基づく情報であり、一次情報ではないため原曲のコードとは異なる可能性もある点は補足しておきます。
Intro
G, Asus4, Em, G/D (繰り返し)
G, Asus4, Em, Asus4, A
おおむねダイアトニックコードで構成されたシンプルな進行。
Aメロ
Em, G, Am, Bm
Em, G, Am, Bm
Em, G, A, B
Em, G, Am, Bm
多くのコードがトニックコードである構成。
Bridge
Cadd9, D, Am, Em, G/D
Cadd9, D, Am, G
Cadd9, Am, C/G, Fmaj7
最後のFmaj7が特徴的なコード選びです。
サビ
Am7, C, Em (繰り返し)
非常にシンプルなコード進行をもったサビになっています。
分析
分析とは言うものの、コード進行の流れを整理するにとどまり、それによって得られていると思われる「効果」や「意味」という部分には自分の能力的に言及できないことをはじめにお断りしておきます。
Intro
Intro
G, Asus4, Em, G/D (繰り返し)
G, Asus4, Em, Asus4, A
この曲は全体としてコード進行はかなりシンプルです。Gメジャーとしてみるなら、「1→2→6→1」の繰り返しが基本、E マイナーとしてみるなら「3→4→1→3」です。どちらとしてみても、緩やかな緊張と緩和を伴う進行という感じで、奇抜な進行とは思いませんが、この部分だけ見ると、G メジャーとして理解する方が納得感のある構成かなと思います。始まりも終わりも調性の主音をルートに持つトニックなので。
全体としてかなり曖昧な部分の多い曲だと感じます。例えば、この曲の調性が G メジャーなのか、E マイナーなのか、という部分がすごく曖昧です。曲が成り立つ土台がそもそも曖昧というのは、「新時代」という曲名と合わせると新しい時代へと移り変わる転換期の混沌とした状態を表現しようとしているのかもしれないな、などと思いました。
このイントロ部分で使用されている Asus4 というコードも曖昧さを伴うコードです。マイナーとメジャーとして、コードを大きく二分する際の決め手は、3度の音です。長3度ならメジャー、短3度ならマイナーとされます。sus4 はこの3度を鳴らさず、代わりに4度を鳴らすコードなので、自然のコードがマイナーなのかメジャーなのかという点は曖昧になります。
コード進行の観点で、曲を作る際に参考にできると思うのは、曲のセクションと別のセクションをどうつなぐかということです。曲の各セクションを作るときに次のセクションにつながりやすいようにコードを選ばなきゃならない、と思っていましたが、各セクションの最後の部分だけ調整すれば次のセクションにつなぐということ自体は案外できるものなのだと気づきました。次とのつながりにあまりとらわれ過ぎず、各セクションを独立したものとして作っても成立させることはできそうだな、という気づきです。
Aメロ
Aメロ
Em, G, Am, Bm
Em, G, Am, Bm
Em, G, A, B
Em, G, Am, Bm
Aメロもかなりシンプルです。どの調性としてコード進行をとらえるかによって変わりますが、G メジャーとしてみると「6→1→2→3」という進行であり、E マイナーとしてみると「1→3→4→5」が基本になると思います。イントロ部分の進行は G メジャーとして解釈する方が納得感のある進行でしたが、この部分に関しては、E マイナーとして理解する方が納得感のあるコード進行という感じがします。
そのうえで、3回目の繰り返し部分には、ダイアトニックコードではない A と B が使われています。とりあえず、ここではこの曲を E マイナーとして仮定して、考えると、A と B という2つのコードは、モーダルインターチェンジであり、かつ、パラレルメジャーキーである E メジャーキーへのインターチェンジです。ただでさえ、曲の調性が曖昧でしたが、Aメロ部分は E マイナーっぽさが感じられるところで、曖昧さが和らいだかというところでパラレルメジャーへのインターチェンジ。やはり、曖昧さというものを 意図的に曲の中に取り入れているという感じがします。
Bridge
Bridge
Cadd9, D, Am, Em, G/D
Cadd9, D, Am, G
Cadd9, Am, C/G, Fmaj7
サビに入るまえのこの部分も、ここまでと同様にコード自体はシンプルですが、C がはじめて用いられます。そのうえで、ケーデンスを整理してみると、G メジャーとしてみた場合は「4→5→2→6→1」であり、E マイナーとしてみた場合は「6→7→4→1→3」です。どちらとして理解すべきなのかを決定づける要素はないですが、メジャーとしてみた場合、ドミナントコードからトニックに動かずサブドミナントに動くというのはほんの少し期待を裏切られる動きにはなります。そういう意味では、やE マイナーとしてみるのがいい気もしますが、フレーズの終わりが G で締めくくられているということに着目すれば Gメジャーとして理解する方がいいのかな、とも思ってしまいます。どちらも決め手がなく、やはり曖昧さだけが残ります。
また、このセクションでは、Fmaj7 というコードだけ、ダイアトニックコードではありません。正直、ここで Fmaj7 が用いられた理由はわかりませんが、なんとなく転調っぽい雰囲気を感じさせるコード選びなのかなと思っています。次のサビが Am7 から始まっているので、そのサビ部分が「Aマイナーキー」と「Eマイナーキー」どちらで聴けばいいのか不安にするためのコード選びという理解をしています。
サビ
サビ
Am7, C, Em (繰り返し)
サビも、コードは3種類のみが使用されており、それが繰り返されるだけという、非常にシンプルな構成です。
この部分に関しては、G メジャーか E マイナーかという問題は、E マイナーとして聴く方がしっくりくるという感じがあります。
ただ、Bridge パートの最後のコードによってもたらされた転調っぽい雰囲気によって、「Aマイナー」への転調なのでは?という感じもします。やはりここでも、この曲のキーはぼんやりします。ほかの方が書かれている分析を読むと、「転調ではない」という記述が目立つというか、それ以外の記述を見かけないので、きっと転調ではないのだろうと思ったりもしますが、自分としては「転調としても読める」と思えてしまうので、この部分はAマイナーに転調している、とこっそり解釈しています。
少なくとも、やはり意図的に調性をぼやかすための工夫がされているように感じます。
ほとんどストーリーテリングという感じの解釈ではありますが、「新時代」という曲のテーマを表現するにあたって、時代の変わりの不安定な世界の在り方を「調性をぼやかす」という方法で一貫して表現しようとしている曲なのだろうな、と僕は解釈をすることにしました。


