結束バンド [ 星座になれたら ]:コード進行分析

はじめに

まずは、曲の基本情報について。
この曲のキーは「A♭メジャー」の調整で作られた曲です。
そのため、スケールの構成音は「A♭, B♭, C, D♭, E♭, F, G」の7音となります。
したがって、ダイアトニックトライアドは、A♭, B♭m, Cm, D♭, E♭, Fm, Gdim です。
ダイアトニックセブンスコードは、A♭maj7, B♭m7, Cm7, D♭maj7, E♭7, Fm7, Gm7(♭5) ということになります。

BPMは123です。

コード進行について

分析については、曲の基本的な部分だけを取り上げようと思いますので、イントロ、Aメロ、そして、サビ、という3つのパートを対象にして進めていきます。
あくまでも、素人である僕のリサーチに基づく情報であり、一次情報ではないため原曲のコードとは異なる可能性もある点は補足しておきます。

Intro

D♭maj7, Cm7, Bm7, B♭m7:繰り返し

D♭maj7, Cm7, Bm7, B♭m7, D♭/E♭

D♭maj7, Cm7, Bm7, B♭m7, A7, A♭maj7

イントロでは、前半部分が共通する2つのパターンのコード進行が進んでいきます。

Aメロ

D♭maj7, D♭/E♭, Cm7, E♭/F

Aメロでは、比較的ゆったりとしたハーモニックリズムでコードが進行していきます。

Bridge

B♭m7, A♭add9/C, D♭maj7, A♭maj7

B♭m7, A♭add9/C, D♭maj7, Ddim7, D♭/E♭

前半部分はAメロ同様に、ゆったりとしたリズムで曲が進行していきますが、最後はサビに向けて展開が加速していきます。

サビ

D♭maj7, D♭/E♭, A♭add9/C, Fm7, Em7, E♭m7, A♭7

D♭maj7, D♭/E♭, Cm7, Edim7, Fm7

D♭maj7, D♭/E♭, A♭add9/C, Fm7, Em7, E♭m7, A♭7

B♭m7, A♭add9/C, D♭maj7, B♭/D, D♭/E♭, A♭7

サビは、フレーズが切り替わる部分に特徴を感じるコード進行です。

分析

分析とは言うものの、コード進行の流れを整理するにとどまり、それによって得られていると思われる「効果」や「意味」という部分には自分の能力的に言及できないことをはじめにお断りしておきます。

Intro

Intro

D♭maj7, Cm7, Bm7, B♭m7:繰り返し

D♭maj7, Cm7, Bm7, B♭m7, D♭/E♭

D♭maj7, Cm7, Bm7, B♭m7, A7, A♭maj7

決して珍しくも突飛でもないと思いますが、トーナルセンターをルートに持つコードではなく、サブドミナントコードとしてのファンクションを持つ「D♭maj7」からコード進行を開始しています。以降は、ルートが半音ずつ下降するラインクリシェを取り入れたコード進行で、トニックコードであるCm7、サブドミナントであるB♭m7とつながっていきます。この部分は、いわゆる「m7」を用いた「コンスタントストラクチャー」による進行で、なおかつ、各コードの間を半音の下降に統一されています。規則的に同種のコードを並べているものの、Bm7以外はダイアトニックコードが用いられており、ケーデンスの点でも「SD → T → (Bm7) → SD → D」と理解することができるので、調性感を度外視した面白さのためのコード選択というよりは、短いフレーズの中でも一定の調性の中で曲を展開していく、というコード選びであるように思います。この場合、「Bm7」はロクリアンスケールを用いたモーダルインターチェンジと理解することができるかもしれません。マイナー系のモードへのインターチェンジになるので、曲に付与するアクセントとしては、決して弱くないものになっているハズ。

イントロ部分で特徴的なのは、繰り返し部分以降のコードで、ハイブリッドコード(D♭/E♭)とサブスティチュードドミナントコード(A7)がそれぞれ活用されています。ハイブリッドコードについては、E♭7sus4をコンパウンドコードという形で置き換えたものとして、理解することができると思います。また、このコードが使われている場所では、次のコードが「D♭maj7」であり、偽終止のような形になっています。E♭7sus4は、E♭7と比べると完全五度が抜け落ちているので、調性における導音が含まれておらず、トライトーンが上下への半音移動で解決するということがありません。なので、ドミナントモーションによる解決感は限定的であると思われます。実際、曲を聴いているときにも、E♭7sus4 の変形である D♭/E♭ の部分では、次への大きな解決感の期待も、偽終止によって大きく裏切られたという感じも個人的にはありませんでした。ただ、E♭7sus4 が鳴っているぶぶんは、ここで終わりという感じは全然せず、次の展開への期待感は自然と抱く響きだと感じるので、曲を前に進めていく推進力のあるコードだとは思います。

また、フレーズの終わりから次のフレーズへのつながりにおいても、ルートがE♭からD♭への下降となり、それ以降も続けて下降していく進行に対して、とてもスムーズな動きになっています。

Aメロへとつながっていく直前のイントロの締めくくりの部分では、コンパウンドコードではなくサブスティチュートドミナントコードが用いられています。A7というコードは、ダイアトニックコードであるE♭7と同様のトライトーンをコードの中に持つドミナントコードで、ファンクションとしてはE♭7の代わりをすることができるものです。そして、その役割通りに調性における主音をルートに持つメジャーセブンスにつながっていきます。曲が始まってから初めての主音をルートに持つコードの使用であり、曲の区切りであることが強く印象付けられます。

イントロ部分を振り返ると、「SD → T → (モーダルインターチェンジ) → SD → D」というケーデンスを軸に、ドミナントコードをいろいろな形で置き換えることで曲に個性のような特徴を生み出しているコード選びである、とまとめることができるように思います。

Aメロ

Aメロ

D♭maj7, D♭/E♭, Cm7, E♭/F

Aメロは比較的シンプルな構成となっています。
まず、イントロと同様にサブドミナントコードである D♭maj7 から曲が開始しており、イントロと同様に E♭7 の代わりとなるコンパウンドコードの D♭/E が続きます。SD → D という流れののち、主音をルートに持つコードではないものの、トニックコードであるCm7への進みます。最後は再びコンパウンドコードですが、こちらはダイアトニックコードの Fm7をコンパウンドコードによって置き換えたものとなります。
個人的に、どうしてここで普通にFm7ではなく、あえてコンパウドコードを用いるのだろうか、と疑問に思い、バッキングパートの伴奏を簡単に打ち込んで比較してみましたが、やっぱり「どっちでもいいのでは?」という程度の違いしか生じませんでした。なお、バッキングパートでは、この部分で登場する2種類のコンパウンドコードは「シックススコード」になっており、この長6度の響きがコードの印象を特徴づけているな、とは思います。それと、2つのコンパウンドコードは各コードにおけるルートと構成音の関係性は全く同じです。つまり、ギターなどで演奏する際には、弦の抑え方が全く同じです。にもかかわらず、一方はドミナントセブンス(つまり、メジャー系のコード)を、他方はマイナーセブンスの代わりの役割を果たしています。コードの方向性を左右する3度の音が省略されていることによって、こういったことが起きているわけですが、これ自体はとても興味深いことだと思いました。聴き手が聴きながら響きの意味を解釈しているということですよね。

Bridge

Bridge

B♭m7, A♭add9/C, D♭maj7, A♭maj7

B♭m7, A♭add9/C, D♭maj7, Ddim7, D♭/E♭

Bridgeパートがこの曲の中では、もっともシンプルなコード進行になっている場所といえるかもしれません。
このパートを構成するコードのほとんどはダイアトニックコードであり、コンパウンドコードとして使用されているコードもこれまでのような3度省略のハイブリッドコードではなく、ルートを入れ替えたいわゆる「オンコード」と呼ばれるようなものです。ほとんど唯一の新たに登場する変わったコードとしては、「Ddim7」があります。これは、パッシングディミニッシュといわれる進行です。パッシングディミニッシュは半音上や半音下に進行していくのが典型的な使われ方です。そのうえで、半音上昇のパッシングディミニッシュはセカンダリドミナントのバリエーションととらえることができます。今回のケースでは、D♭/E♭ が E♭7sus4 の代わりとして用いられているので、D から E♭ への半音上昇の進行であると解釈できますので、これに該当します。

ケーデンスもかなりシンプルで「SD → T → SD → T → SD → T → SD → D」という動きであり、SDとTの間をゆらゆらとゆれながら、最後はドミナントコードで締めくくり、サビへと曲を展開していきます。

サビ

サビ

D♭maj7, D♭/E♭, A♭add9/C, Fm7, Em7, E♭m7, A♭7

D♭maj7, D♭/E♭, Cm7, Edim7, Fm7

D♭maj7, D♭/E♭, A♭add9/C, Fm7, Em7, E♭m7, A♭7

B♭m7, A♭add9/C, D♭maj7, B♭/D, D♭/E♭, A♭7

サビは、この曲らしさがぎゅっとつまったコード進行という印象を持つ構成になっています。
まずは、これまで同様に D♭maj7 からフレーズが始まっています。そして、D♭/E♭と続くところまではこれまでも何度も見た進行です。ただ、今回はこのドミナントコードの代理となるコードを主音をルートとするダイアトニックコードである A♭add9/C がこれを受けています。D♭/E♭によるドミナントモーションの試みは何度も見てきましたが、きちんと主音で受けるという進み方はここが初めてだと思います。

そこからは、イントロを想起させるような「m7」を用いたコンスタントストラクチャの構成が続きます。この部分のコンスタントストラクチャーは自分としては解釈するのがとても難しく感じましたが、自分なりの解釈は、コンスタントストラクチャに続くA♭7によるセカンダリドミナントを軸として、そこに対する「ツーファイブ」を形成する「Em7」という基本構造があり、そのあいだをつなぐような形で「E♭m7」が間に置かれているというものです。つまり、コンスタントストラクチャを用いた滑らかなセカンダリドミナントへの移行として理解できる構造だと思います。

すでにふれたとおりですが、「A♭7」というコードはいわゆるセカンダリドミナントのコードとして機能しています。主音をルートに持つコードであることの安心感と同時に次のフレーズに向けて曲を動かす力もあるという、パワフルなコードだと感じ、「メジャースケールにおける第4音をルートに持つコードから曲やフレーズを開始する」ということの面白さを感じました。

サビの最後はそれ以前とは異なり、「B♭m7」によってA♭7からのセカンダリドミナントを偽終止とすることによって、これまでの繰り返しとは違うという雰囲気を作り、最後まで流れるようにコードがつながっていきます。トニックから「D♭maj7」(サブドミナント)に動き始めてからは、ルートを半音で上昇させるラインクリシェでコードをつないでいきます。これまでは、下降でつながっていくことが多かったこの曲なので、上昇していくクリシェはサビが終わりに向かって盛り上がっていくさまを演出します。このクリシェの中では、新しいコンパウンドコードが使われていますが、このコードはリディアンスケールを用いたモーダルインターチェンジであると思われます。メジャー系のモード間でのインターチェンジになるので、際立って曲に特徴が生じるというよりも、クリシェによる滑らかン進行を違和感なく成立させるためのコード選びという感じがします。そして、そこからはこれまで何度も登場した「D♭/E♭」によるドミナントモーションをA♭7が受ける形となっています。そして、このA♭7は次の間奏の冒頭に来るはずの「D♭maj7」に向けたセカンダリドミナントコードであり、この一連の動きはエクステンデッドセカンダリドミナントによる進行となっています。

以上で、この曲の分析は終わりです。
少し解釈するのが大変な曲だったという印象ですが、いろんな発見がある面白いコード進行の曲だったと思います。

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